前号のコラムで、タッピンねじの最適締結条件について記した。
今回のコラムでは、もう少しセミナー内容について掘り下げたい。

ボルト・ナットの締結で最も重要視されるのが、「軸力」である。
また、トルク法による締結方法を用いるのが一般的に多い。
軸力を測定するのが、締結現場で難しいので、締結トルクを管理する事で、締結軸力の管理を行うのが、「トルク法」による締結管理。
摩擦係数、トルク係数、などを用いて軸力管理をする。

しかし、タッピンねじ、セルフドリルねじなど、ねじ頭部の座面が着座する前に、「ねじ込みトルク」が発生する場合は、計算式からの最適トルクを導くことが出来ない。
従い、実験によって様々な数字を把握することで、最適締結条件を導き出す。
このプロセスを90分間にまとめたものが「トルク曲線解析セミナー」である。

実験に使う測定器は、汎用性が無い為、少数の測定器メーカーから発売されているのみ。

日本では、ベクトリックス社のPCトルクアナライザーを使用しているユーザーが多い。
海外ではドイツ製の動的トルク分析器を使用している会社が多い。

どの動的トルク測定機器も、
・TD点 最小ねじ込みトルク
・TF点 破壊トルク
・TS点 最適締結トルク
が数値で得られる。
セルフドリルねじの場合には、TD1、TD2と二つのTD点が計測される。
TD1はドリル部分が穴あけに必要な最小トルクを表す。
TD2はねじ部が鉄板などにねじ込むための最小トルクを表す。

セミナーでは、非締結物の材質の違いでどの様な事が起きるのかも論じる。
・鉄板
・アルミ板
・樹脂

さらに下穴径上の差、
・袋穴
・ボス立てした穴
・薄板
・バーリング加工
等の違いにも触れる。

どんな実験をすべきなのか
なぜ実験が重要なのか
現状の締結は安全なのか
より良い条件は無いのか

上記のより深い理解が得られるのが、このセミナーの特徴である。
東京鋲螺協同組合発行の「ねじ総合カタログ」に最適なねじの締め付け管理についての記述があるので、参考にされたい。

[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝