動的トルク把握の必要性
2024年6月19~21日まで、東京ビッグサイトでの機械要素技術展では「動的トルク」と「静的トルク」の話を沢山させて頂いた。
英語でも、中国語でも、PCトルクアナライザーから出力されるトルク曲線を解析すると、安全・安心のねじ締結が可能になる話は未だに隅々まで浸透していない事を痛感する。
ねじユーザーの設計者は、正しいねじの選定、正しい締結方法、正しいトルク、等へ時間とエネルギーを費やすより、もっと重要な事がありそうだ。
改めて、「ねじの事は専門家へ」お任せ頂きたい。
展示会場で、日本人だけでなく他の海外ねじユーザーの「設計者」たちと会話した内容が以下である。
ねじ締結を開始して、締結が完了するまでに、トルクの増減が出てしまうのがタッピンねじとドリルねじ締結の特徴。
特に、タッピンねじ締結では、TF点(破壊トルク)とTD点(最小トルク)の把握がマストで必要。
ボルトナット締結では、必要のない「トルク曲線」の徹底的な解析が量産ラインでの締結トラブルを激減させる。
TDとは、ねじが着座までに最低限必要なトルク。
TD点以下のトルク設定では、ねじ頭部は非締結物に着座しないので、ねじが浮いている状態。
当然、締結できていない状態である。
TF点とは、そのトルク以上で締結するとねじバカが起きるトルク値。
大抵は、非締結物が破壊されてねじが空回りしてしまう。
はめ込み長さが長い場合は、ねじ頭部が飛んでしまうことが有るがレアケース。
さらに、まれな状態だが、リセス(十字、六角穴など)の精度が悪く、リセス破壊が起きてしまう場合もある。
あまりに安価な十字穴。低頭系の十字穴と六角穴に見られるトラブルである。
TD点、TF点、そして適正トルクの把握・・・・・の流れは、サイマの「トルク曲線解析セミナー・90分」があるので、受講をお待ちします。
[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝