DINとJIS メトリックねじ
Vol.23と24で、日本のねじ製造は、少量での素材購入(伸線後)が出来るので小ロット生産が可能であると論じました。
逆を言えば、海外ねじ製造者は、大量生産を得意にしているので、規格品のコストメリットがあります。
今回はミリ系の、メトリックねじの生産と、市場についての話です。
少々雑な言い方をすると、世界で流通しているミリ系メトリックねじの大多数は、DIN規格品です。

JIS品は、残念ですが、日本国内および日系企業のみの使用になるので、市場規模は全く違い、DIN規格品が世界市場の主流です。
インチねじの総本山、アメリカ市場でもメトリックねじの流通が増加していますがDIN規格品の流通です。
従い、コストメリットではJISよりもDIN規格に軍配が上がります。
では、なぜDIN規格品なのでしょうか?
DINはドイツの工業規格です。
私が、ねじの世界に入った30数年前は、若干ですが、イギリス規格、フランス規格、スイス規格などのねじの取引がありました。
しかし、既に圧倒的にDIN規格品の流通量が既に多かったのも事実です。
私のねじの師匠(スイス人)によると、DIN規格は使い勝手が良く、毎年様々な項目の見直しがされていて、欧州ではDIN規格を採用したほうがその国にとって楽だったと。
さらに、ISO規格への統合時にDIN規格をベースにする方向で各国で話が進んだのも、DIN規格がメトリックねじ規格の絶対的王者になった理由だそうです。
ちなみに、現在のDIN規格ねじの流通品は、ISO規格品と完全一致していないねじもあるので、要注意です。
また、DIN規格の番号が一緒でも、どの年代のDIN規格で製造されたのか要チェックのねじも有りますので、ご注意を。
ご心配な方は、サイマへお問い合わせください。
[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝