サプライチェーン
複数の企業間のサプライチェーンが、ここまで構築されている国は珍しいです。
日本のねじ生産体制のサプライチェーンは世界に誇れる体制です。
素材(製鋼メーカー)
↓
伸線
↓
ねじ製造(ヘッダー、ローリング)
↓
熱処理
↓
表面処理
この流れは、複数の国で可能になっていますが、日本のねじ生産体制の強みは、もっとあります。
・複数の素材メーカーが同一国内に存在する
・生産に必要な各種金型メーカーが同一国内に複数ある
・ねじ生産に使用する工作機械メーカーがある
・熱処理、表面処理の機械メーカーも存在する
・製造に必要な潤滑油、表面処液薬液も自国内に存在する
・二次加工(穴あけ、溝入れなど)の工具、刃物なども日本で調達可能
など、自国内ですべてが揃う国は、世界的に珍しくなってしまいました。
それぞれの工程で、専門的なアドバイスが自国内で受けられるのです。

私が、欧州のねじ商社グループ勤務だった時に、多くの国のグループ内企業のTSP(Technical Sales Person)から羨ましがられました。
特に、伸線工程がねじ製造会社の中に取り込まれている国が多くなっている中、日本の伸線ビジネスは独立した企業として成り立っています。
中国、台湾などのねじ製造コスト(素材コスト)からは高くなってしまいますが、少量で欲しい素材を、欲しい時に入手可能なことは、日本の強みです。
日本では、素材を100kgs前後で入手可能ですが、海外ではこの量で安定的に調達することは、難しいのが現実です。
少量生産のサプライチェーンが存在することを生かした「ねじビジネス」は世界に通用すると考えています。
[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝