低頭系ねじのコラム第4弾です。
六角穴よりも星形リセスの方が、頭部を低く、薄くしても締結性能を一般小ねじと同様に出来ると解説いたしました。
今回は、日本国内で、根強い支持を得ている十字穴タイプの低頭の話です。
十字穴は、ドライバーなどの工具が世界中で調達可能なので、誰でも何処でも気軽に使える安心感があります。
また、製造面でも、比較的に簡単に製造が出来ますので、最も安価に製造が出来るねじで、在庫品も世界中にあるので、世界標準のネジと言えるでしょう。
十字穴の最大の弱点は、「カムアウト」にあります。
カムアウトは、ドライバーをねじ頭に押しつける(荷重)力が足りない場合にドライバーが浮き上がってしまう現象です。
締結力不足や十字穴潰れの原因となります。

従い、カムアウトを抑える為には、十字穴深さ(q寸)をより深く取りたいところです。
しかし、低頭系のネジには、十字穴深さを取れるだけの頭部高さが無いので、
・十字穴を浅くする
・頭部の首下r部分を最大化する → 皿頭のような形状になってしまう事も
となってしまいます。
十字穴を浅くした場合には、荷重がさらに必要になってしまいます。
トルク伝達も下がってしまうので、ドライバーを強く押し当てて回しても、どれほどのチカラが軸力変換されているか疑問です。
サイマ製の310スリム、クオタイイプは、工具大手のOSG社の特許を採用しています。
トルク伝達に優れる、星形リセスの6枚歯が4枚歯になり、一般の受持ドライバーでも開閉できるリセスを採用しています。

クオの超極低頭なら、普通の小ねじと同じ仕様で締結可能です。
[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝