前回コラムから数回に分けて、お問い合わせ件数が比較的多い「ゆるみ」に関して書いています。
今回は、ばね座金の効能をどう考えているのかと言う点。
ばね座金不要論
私の経験上、幾つかの大手企業で「ばね座金」を設計から外している会社があります。
大手P社が系列会社を統合した結果、ばね座金不要としてきた会社と、ばね座金を長年設計に入れてきた会社が統合して同じ会社になった。
さあ、どうしたものだろうかと。
片方の系列会社のシンガポール工場の設計者から意見を求められたので、私見を申し述べたことが有るので、よく覚えている。
振動試験のNAS試験で、ばね座アリ・ナシで比較試験をすると、ほんの数秒だがアリの方が脱落までに時間が多くかかる。
ただし、ほんの一瞬の事である。
私見であるが、ばね座金は入れなくても良いと思っている。
ばね座を入れないと不安な設計者へ
頭部と座の部分が一体になっていて、さらに座の部分がさらばね形状、カップ形状になっている小ねじやタッピンねじが製造販売されている。
日本以外の国でも比較的簡単に入手できるのでお勧めします。
複写機、複合機メーカーで採用が多いネジだと思います。
各社から出ているので、詳細は弊社へお問い合わせを。
摩擦接合による締結では、ばね性の介在物は絶対に入れない事
JIS B 1186
摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット
一般的には、ハイテンボルトなどと呼ばれている商品です。
セット販売されているのですが、ばね座は入っていません。
理由は、摩擦接合だから。
現在では、無いと思いますが、同じような強度区分の六角ボルト(10.9など)で代用して
現場作業者がばね座を入れてしまっている、などと言う事は無いと思いますが、驚かれた方は現場をチェックした方が良いです。
ばね座金は、昔からある締結商品です。
自社の機構設計をどの様に評価すべきなのか、どの様なプロセスで進めるべきなのか、詳しいお話は、是非個別にご相談ください。
[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝